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こんな症状ありませんか?こんな症状ありませんか?


幻聴 ~誰もいないのに声が聞こえる~

 

「誰もいないのに声が聞こえる」というのは
どんなことですか

声が聞こえてくる

「周りに誰もいないのに人の声が聞こえてくる」と聞くと、どんなふうに感じるでしょうか。「そんな不思議なことはあるはずがない」と考えるでしょうか。それとも、「以前そんな経験があった、今でも時々そういうことがある」と思うでしょうか。 「周りに誰もいないのに人の声が聞こえてくる」には、あまり心配の必要がないこともありますし、早めに相談をしたほうがよい場合もあります。思い当たることがあるようでしたら、続きを読んでみましょう。

いろいろな聞こえ方

「周りに誰もいないのに人の声が聞こえてくる」という場合に、いろいろな聞こえ方があります。自分の場合にはどんな聞こえ方かを、下の文章を読みながらあらためて振り返ってみましょう。

  • 確かに聞こえますか?
    声はたしかに聞こえてきますか、それとも聞こえるような気がするだけでしょうか。
  • どんな時に聞こえますか?
    声が聞こえてくるのは、どんな時でしょうか。少し眠くてボーッとしている時でしょうか。
    それとも、はっきり目が覚めていても聞こえてくることがあるでしょうか。
  • どんなふうに聞こえますか?
    声はどんなふうに聞こえてくるでしょうか。普通の音と同じように、外から自分の耳に聞こえてきますか。それとも、頭の中に直接響いてきたり、とても遠いところ、あるいは自分の体の中から聞こえてきたり、他の音に混じって聞こえてきたりと、普通の音とは違う聞こえ方をするでしょうか。自分が考えていることが声になって聞こえてくると感じる人もいます。
  • どんな内容が聞こえますか?
    聞こえてくる声の内容はどんなものでしょうか。自分がとても心配したり気にしたりしていること、これまでに経験したことがある内容でしょうか。それとも、自分のことを悪くいったり、命令をしてきたり、あるいは自分のことをすべて見通しているかのような声でしょうか。よく聞き取れないけれど意味はわかる、というような聞こえ方でしょうか。
  • どんな気持ちになりますか?
    声が聞こえてきても平静な気持ちでいられるでしょうか。それとも、とても不安だったり、怖い気持ちになったり、動揺してしまうことがあるでしょうか。
  • 行動が声に影響されてしまうことはありますか?
    本当の声と区別ができなくて、声にもとづいて行動をしてしまうことがありますか。たとえば、返事や会話をしてしまったり、声の指示に従ってしまったりなどです。また、声が聞こえてこないようにするために、耳をふさいだり、無理に音楽を聴いたり、どこかに逃げていくことがありますか。
症状としての聞こえる声

あなたに聞こえてくる声には、どんな特徴があったでしょうか。周りに誰もいないのに声が聞こえてくる時には、いろいろな場合があります。眠い時にだけ聞こえてくるのであれば、眠気で夢見心地のせいかもしれません。心配していることを他の人に「いわれている気がする」というのは、声が聞こえてくるというのとは違います。

「周りに誰もいないのに確かに人の声が聞こえてくる」場合には、症状として“幻聴”とう名前をつけることができます。聞こえてくるのが声ですから“幻声”と呼ぶこともあります。一般の言葉では“空耳”といったりもします。実際にはない物が見えたり聞こえたりすることを指す症状である“幻覚”の一種です。

耳鼻科の病気の時に経験する耳鳴りは、無理にいえば幻聴と言えなくもありませんが、耳鳴りが人の声として聞こえてくることはありません。人の声が、普通の音の聞こえ方とは違って聞こえてくる、それによって気持ちがひどく動かされてしまったり、行動が影響を受けてしまったりするような場合には、症状としての幻聴(幻声)である可能性が高くなります。

聞こえる声の背景にある病気

幻聴(幻声)を引き起こす原因として、いくつかの精神科の病気が考えられます。代表的なものを3つ挙げてみましょう。

ひとつは、統合失調症という病気です。統合失調症の幻聴は、不安で恐ろしい気分、周囲の世界が変わってしまって切迫したような感覚とともに聞こえてくることが多いものです。10歳代後半から20歳代に始まることが多い病気です。

次は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)という病気です。心が非常に傷つくような出来事を経験した後に、その経験がよみがえるようにして幻聴が聞こえてきます。短い言葉のことが多いようです。しかし自分では、昔のことがよみがえるという感覚は必ずしもありません。

最後は、薬物によるものです。アルコール・大麻・覚せい剤・シンナーなどいろいろな薬物によって、使用している最中、あるいはしばらくたった後に、幻聴が聞こえてくることがあります。

 
 

「誰もいないのに声が聞こえる」と思ったら
どうしたらいいですか

「周りに誰もいないのに人の声が聞こえてくる」ということが自分にあてはまりそうだと思ったら、まず大切なのは誰かに相談することです。そういうことを経験する人が意外に多いことがわかってきていますので、慌てたり隠したりする必要はありません。

相談の相手は、家族・友達・同僚・先生といった身近な人でもかまいません。あるいは、保健所や精神保健福祉センターのような公的な相談窓口でもよいでしょう。精神科や神経科に受診して相談するという方法もあります。

ひとりで悩んでいる、つらいのをじっと我慢しているというのが、一番よくない対処法です。自分だけで幻聴の原因を明らかにすることは難しいものです。誰かに相談をすると、自分が感じていることが幻聴という症状かどうかが、もう少しはっきりしてきます。

相談する相手は、こうした症状の専門家ではないことも多いでしょう。その場合には、“「誰もいないのに声が聞こえる」というのはどんなことですか”のところを印刷して、あるいは一緒に画面でみてもらってください。そうすると、次にどうすればよいかを一緒に考えることができます。病気があるかどうか、あるとしたらどんな病気かという判断には専門的な知識や経験が必要ですから、専門家に任せるようにしましょう。

たとえば統合失調症の場合には、幻聴という症状があっても何カ月どころか何年も相談しないままとなり、専門家にたどりつくまでにかなりの時間がかかってしまうケースが多いことがわかっています。いつになっても「手遅れ」ということはありませんが、病気である場合には早期発見・早期治療により回復が促進されます。

 
 

身近な人が「誰もいないのに声が聞こえる」といったら
どうすればよいですか

まず、時間をかけて十分に話を聞いてあげてください。自分の心配に耳を傾けてくれる人がいると感じるだけで、ご本人はずいぶん安心できるものです。

そのうえで、“「誰もいないのに声が聞こえる」というのはどんなことですか”を一緒に読んでみてください。どれが当てはまり、どれが当てはまらないでしょうか。やはり幻聴の可能性があるようであれば、家族に橋渡しをして、専門家への相談をすすめてください。相談の際には、できれば一緒に同伴してください。

「周りに誰もいないのに人の声が聞こえてくる」という状況では、多くの場合に本人はとても混乱した気持ちでいます。どうすればよいかの判断がつきにくかったり、専門家に相談に行くべきかどうか迷いが強かったりします。とるべき行動の整理をつけたり、相談に行ったりすることの後押しをしてあげてください。

 
厚生労働省