こんな症状ありませんか?
食欲不振 ~食事がすすまない~
「食事が進まない」症状になるのはどうしてですか
食事が進まない症状は、「食べたい気持ちはあるけれども食べられない」という状態や「食べたい気持ちが起こらない、あまりない」という状態で、特に「食べたい気持ち(体や心の欲求)があまりない」場合は、「食欲低下」「食欲減退」「食欲不振」「食思不振」などのようにいう場合もあります。
「とても疲れたので食事が進まなかった」「悲しいことがあって食事が進まなかった」というような一時的な出来事は、多くの人が経験し、あまり問題にはなりません。
しかし、数日以上にわたり「食事が進まない」症状が続く場合は、何らかの病気によるものの可能性が高くなってきます。
また、食事が十分にとれない状態が続くことで、体に悪影響をおよぼす可能性も出てきます。
食事が進まない症状になる原因には、さまざまなものがあります。食道や胃・腸のように直接食べたものが通る場所の病気だけでなく、肝臓や膵臓などの消化器の病気、慢性腎不全・うっ血性心不全・慢性閉塞性肺疾患(COPD)など腎臓・心臓・呼吸器の病気、脳血管障害などの脳や神経の病気、甲状腺機能低下症などのホルモンの病気、関節リウマチなどの膠原病、糖尿病、さまざまな感染症(結核や肺炎など)、悪性腫瘍(がん)など、体のあらゆる部位の病気によって、食事が進まない症状になることがあります。
また、このような身体疾患(体の病気)によるものだけでなく、市販の薬や、病院で処方された薬が原因で、食事が進まない症状が起こることがあります。
さらに食事が進まない症状が、こころの状態と密接に関連していることは先に述べましたが、時には体重が減ってしまうほど食事が進まない症状がみられる原因として、うつ病もまれなものではありません。
また、心理的なストレスが長く続いたり、葛藤が解決されないままでいたりすると、心身症として他のカラダのいろいろな症状とともに現れてくることもあります。 ほかに統合失調症や、アルコール・薬物依存、認知症などの精神疾患(心の病気)でもこのような症状がみられることがあります。摂食障害でも食事が進まない症状がみられますが、摂食障害の場合、たとえば少しでも体重が増えることに恐怖を感じて食べることができないなど、単に食欲がない状態とは異なる症状です。
自分の具合が悪い時にはどうしたらいいですか
食事が進まない症状が何日も続く場合や、減らそうと思っているわけではないにもかかわらず体重が減ってきた場合は、原因を調べるために、医療機関を受診しましょう。
食事が進まない症状にはいろいろな原因が考えられるので、まずはかかりつけ医や内科を受診するのがよいでしょう。
もともと病気があり定期的に通院をしている人は、もともとの病気や薬が関係している場合もありますので、まず通院先で相談することをおすすめします。医療機関で
「いつ頃から始まり、よくなっているのか悪くなっているのか」
「始まったきっかけや、よくなる時・悪くなる時があるかどうか」
「体重は減ったか、どのくらいの期間でどのくらい減ったか」
「他に症状があるか」
などについて話すと、原因を見つける手がかりになることがあります。
診察や検査を受けても原因となるような身体疾患が見つからない場合や、身体疾患だけでは説明がつかない時、食事が進まない以外に気持ちの落ち込みなどのこころの症状がある場合には、精神疾患の可能性も考えられますので、精神科を受診したほうがよいでしょう。
また、ストレスの対処のしかたなど日常生活のありかたと、食事が進まないことが関係しているようであれば、心療内科を受診するのもひとつです。かかりつけ医や内科での検査結果や薬の処方の内容などを診療情報提供書に書いてもらい、持参するとよいでしょう。
なお、「処方された薬で食事が進まなくなったのでは?」と思った場合には、自分の判断だけで急に薬をやめてしまうのではなく、薬を処方した医師(医療機関)に相談しましょう。
原因がわかったら、それぞれの原因に対する治療を行います。
原因によっては、少しでも多くの栄養素をとれるように、食事の内容や量・タイミングを工夫するなど、日常生活で行える対処方法もありますので、医療機関で相談するとよいでしょう。
身近にいる人が具合の悪い時にはどうしたらいいですか
身近にいる人が食事が進まない時、それが何日も続いている場合や、減らそうと思っているわけではないにもかかわらず体重が減ってきた場合には、まず原因を調べるために、医療機関を受診するようすすめるのがよいでしょう。
原因によって、周りがどのように接すればいいか、食事についてどのような協力ができるかなどは違ってきます。 周囲が心配しているにもかかわらず、本人が「大丈夫」といって医療機関に受診したがらないこともあるかもしれません。このような場合、「何か重大な病気が見つかるのでは」と不安で、医療機関を受診するのをためらうがゆえに言っていることもあります。
また摂食障害では、しばしば病識がない(自分が病気だとは思っていない、具合が悪いとは思っていない)ことが特徴として挙げられます。摂食障害に対する周囲の対応のしかたについては、摂食障害の項を参照してください。